豪ドル/円相場は、1豪ドル=92円中盤まで軟化する展開になっている。オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)当局者が豪ドル高をけん制する発言を繰り返す中、11月20日の94.60円を戻り高値に豪ドル高を是正する動きが優勢になっている。ただ、日本株買いと連動した円売り圧力が継続する中、積極的に豪ドル/円相場を売り込むような動きもみられず、下値は切り下げるも大きな値動きには発展していない。
豪中銀のスティーブンス総裁は11月21日、改めて豪ドル高に強い警戒感を示すと同時に、為替介入についても「検討する可能性がある」と指摘した。「適切な状況で行われる為替介入であれば、効果的で有益」としており、介入の可能性は殆ど想定していなかったマーケットでは、豪ドルに対してややパニック的な売り圧力が観測されている。現実問題としては、実際に豪ドル売り介入が行われる可能性は高くない。過去20年近くにわたって豪中銀は介入を実施しておらず、投機色の強い豪ドル相場の急騰などがなければ、介入が行われる可能性は低い。ただ、豪当局者の豪ドルに対する警戒感が予想されていたよりも強いことを露呈する形になったことで、利上げ時期は先送りの可能性が高くなっており、目先は豪ドルサイドから豪ドル/円が大きく上昇するシナリオを描くのは困難な情勢に。
もっとも、ヘッジファンドが日本株買い・円売りの回転を効かせる中、対豪ドルだけで急激円高が進行する可能性も低い。豪ドル売りであれば対米ドルに留めるべきであり、豪ドル/円相場は現在の値位置を維持することが可能と考えている。
テクニカルでは、一目均衡表の雲上限(93.61円)でのサポートに失敗。その下の支持線は雲下限の91.07円となる。抵抗線は雲上限(93.43円)が交錯する93.50~94.00円のレンジ。サイコロジカルは、前週の8勝4敗から6勝6敗に。14日RSIは43.59。